特集:幼児期のお口の特徴とケアのポイント
幼児期(乳歯列期)は、精神的にも肉体的にも大きく発達します。お口の中でも乳歯が生えそろい永久歯が生え始める大切な時期です。
この時期に大きなむし歯になると痛い・かめないなどの症状はもちろん、永久歯のかみ合わせにも大きく影響してしまいます。
むし歯にならないために、お口のケアや食生活を見直してみましょう。
・乳歯の奥歯のかみ合わせ
・第1大臼歯(6歳臼歯)のかみ合わせ
・乳歯の奥歯の歯と歯の間(隣接面)
乳歯の奥歯の深い溝に注意!
3歳ごろ、乳歯はすべて生えそろいます。この時期は甘いお菓子もよく食べて、むし歯菌の数も増える時期。乳歯の奥歯をよく見ると、複雑な溝がいっぱい。こどもだけではみがき残しが多くなり、むし歯ができてしまいます。
第一大臼歯(6歳臼歯)って何?
乳歯の奥歯の後ろから6歳頃に生えてくるとても大きな永久歯のことです。
この第一大臼歯は、永久歯の中で最もかみくだく力が強く、かむ力とかみ合わせの中心的な役割をになっているとても大切な歯です。
詳しくは、「第一大臼歯って何!?」をご覧ください。
どうして乳歯の歯と歯の間がむし歯になるの?
これにもなんと第一大臼歯が関係するのです。4歳ごろから第一大臼歯は骨の中で生えようと動き始めます。実はそのとき、乳歯の1番奥の歯を前方へと押しながら生えてきます。この結果、乳歯の奥歯の歯と歯の間がきつくなり、一度入った汚れは歯みがきでは取れにくくなります。だからこの時期にむし歯になりやすいのです。
乳歯の奥歯の後ろに生えてくる大きな歯が第一大臼歯(6歳臼歯)です。お口のいちばん奥に生えてくるので、大人の歯とは気がつかない場合もあります。 第一大臼歯はむし歯になりやすいので、特に気をつけましょう。
第一大臼歯の特徴
・歯ならびやかみ合わせの基本となる大切な歯
・永久歯の中でいちばん大きく、ものをかむ力が最も強い歯
・完全に生えるまでに1年から1年半もかかる
・むし歯になりやすい歯
・この時期、いちばん奥に生えている歯
第一大臼歯がむし歯になりやすいわけ
①乳歯のいちばん奥に生えてくるため、気がつきにくい
②完全に生えるまでに時間がかかるため、ブラッシングしにくい
③かむ面(咬合面)がデコボコしているので、食べかすがたまりやすくなる
乳歯がむし歯になると、永久歯に大きく影響します。永久歯をきれいな歯並びにするためにも、乳歯が生えそろう3歳ごろをすぎたら、お口のなかをキレイにする習慣を身につけてあげましょう。
ただ、このくらいの年齢では、きちんとみがけているかどうかはわからないもの。「自分でみがく」という気持ちを大切に、あまり手出しをせずに本人のやる気を応援してあげながらも、こどもにみがかせたあとで、必ず保護者がていねいに仕上げみがきをしてあげましょう。
[3歳~] 乳歯の奥歯のかみ合わせ
乳歯の奥歯のかみ合わせの部分は複雑な溝がいっぱい。みがき残さないためには、奥歯に届きやすいヘッドの小さい仕上げみがき用ハブラシやワンタフトのブラシがおすすめ。ハブラシを奥歯に押し当てるように、できるだけ細かくハブラシを動かすことがポイントです。
[4歳~] 乳歯の奥歯の歯と歯の間
きつくなった歯と歯の間は、ハブラシだけではなかなか汚れが取れません。そこで使用するのがデンタルフロス(糸ようじ)。『え!?こどもにフロス?』なんて思っていませんか?歯と歯の間のむし歯は永久歯の歯並びにも大きく影響します。汚れを残さないためにもデンタルフロスは必要です。
第一大臼歯が生えてきたら
6歳ごろになると永久歯の代表「第一大臼歯」が生えはじめます。第一大臼歯は、乳歯の奥歯の後ろにあるので、生えはじめの頃は見えにくく、生えたことに気づかないことも!また、完全に生えるまでに1年近くもかかるため、その間、手前の乳歯よりも高さが低く、ハブラシが届きにくくなります。この時期おすすめのハブラシはヘッドが小さく奥歯に届きやすい仕上げみがき用ハブラシです。乳歯の奥歯と同様に細かくハブラシを動かすことがポイント!
大切な永久歯です。みがき残さないように、まず、第一大臼歯から丁寧にみがいてあげましょう。
歯ならびが悪いとどうなるの?
歯ならびが悪いと、ハブラシの毛先が届きにくいところが増えるので、そこに汚れがたまって、むし歯になりやすくなります。さらに、かみ合わせも悪くなり、あまりひどくなると、「食べ物がうまくかめない」「発音が正しくできない」といった障害をおこす場合もあります。
歯ならびが悪くなる原因は?
歯ならびが悪くなる原因はさまざまです。遺伝的なこと以外に、後天的な原因の1つとして、「乳歯のむし歯」があります。乳歯は、永久歯が正しく生える場所を確保し、道しるべとなるための大切な役割をもっています。もし乳歯がむし歯になって抜けてしまったら、となりの乳歯が動いてしまい、永久歯が正しい位置に生えなくなってしまいます。乳歯から永久歯へ正しく生えかわり、永久歯の健康を長く保つためには、乳歯期からむし歯をつくらないことが第一です。
歯ならびを悪くする癖は?
3~4歳を過ぎてもまだ指しゃぶりが治らない、唇を吸う、舌をつきだす、頬づえをつくなどのクセがあったら、注意が必要です。
かむことの効能のいろいろ
①消化を助ける ②唾液の分泌がよくなる ③脳の働きを活発にする ④顎の成長を促す ⑤食材の異物を発見し排出する |
・唾液と食べ物がまざることにより飲み込みやすくなる。 ・唾液で、歯についた食べ物を洗い流す。 ・唾液の中のカルシウムにより、歯が再石灰化され強くなる。 ・甘いものを食べた後、むし歯菌が出す酸を中和することができる |
あごは使うほどきたえられる
最近は、顎が小さなこどもが増えています。顎が小さければ、全ての歯が顎に納まらず、歯ならびが悪くなります。
こどもの好きなメニューやファーストフード、インスタント食品では顎も小さくなるはず。食物繊維の多いきのこや海藻類、野菜、魚の干物などを使った、かみごたえのあるメニューをとり入れるようにしましょう。また、食材を少し大きめに切るなどし、細かく刻みすぎないようにしてみましょう。
こどもは胃袋が小さいので、いちどにたくさんは食べられません。おやつで栄養補給をする必要があります。そこで「おやつ=甘いもの」という考えは捨て、不足しがちな栄養素をおぎなうチャンスと考えましょう。
また、おやつをだらだら与えていると、お口のなかにつねに食べかすが残っている状態になってしまい、むし歯にもなりやすくなってしまいます。おやつの時間を決めることも大切です。
こんなおやつばかり与えていませんか?
プリン、ビスケット、菓子パン、ジュース、スナック菓子
※やわらかいものばかりだと、かみくだく練習ができません。甘いだけのおやつは、糖質が高くて、ビタミン・ミネラルがほとんど含まれていません。
歯の健康を考えたおやつ
ふかしいも、スティック野菜、季節のくだもの、炒り豆、するめ、だし昆布など
※手作りのおやつなら、不足しがちなミネラル類を取り入れることもできます。できるだけすぐれた栄養をもった食品を選びましょう。 かめるおやつなら、筋肉と顎のトレーニングにもなります
おやつの後のひと工夫
おやつの後もブラッシングをすることが大切です。しかし、いつもブラッシングができるわけではありません。そこでむし歯にならないためにひと工夫!
おやつを食べた後は必ずうがいをする。もしくはお茶など甘くない飲み物を飲ませて、お口の中からむし歯菌の栄養分になる甘いものを洗い流しましょう。
情報提供:サンスター株式会社
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